会社の強みは、社内にいると見えなくなる

「御社の強みは何ですか?」

そう聞かれて、すぐに答えられる会社は、どれくらいあるんだろう。

技術力がある。

品質が高い。

納期を守る。

お客様の要望に柔軟に対応できる。

そんな答えが返ってくることがある。

もちろん、どれも大切なことだと思う。

でも、もう少し詳しく聞いてみると、

「いや、うちでは普通にやっていることなので」

という話になることもある。

ここに、少し面白いことがある。

自分たちにとって当たり前のことが、他の誰かにとっては特別な価値になっている場合がある。

例えば、ある製造業の会社では、急な仕様変更にも対応している。

現場で調整しながら、何とか納期に間に合わせる。

社員にとっては、いつもの仕事だ。

特別なことをしているという感覚はない。

でも、取引先からすると、それがとてもありがたいことなのかもしれない。

他社では断られるような変更にも対応してくれる。

困ったときに相談できる。

多少無理なお願いでも、まず一緒に考えてくれる。

そうしたことが、その会社を選び続ける理由になっている可能性がある。

ところが、社内ではそれを強みだと思っていない。

なぜなら、毎日やっていることだから。

当たり前になっていることほど、その価値に気づきにくい。

これは、製造業に限った話ではない。

長年続けてきた接客。

顧客との細かなやり取り。

トラブルが起きたときの対応。

社内で自然に共有されている知識や工夫。

そうしたものの中に、他社には簡単に真似できない価値が隠れていることもある。

ただ、ここで気をつけたいこともある。

自分たちが得意なことが、そのまま顧客にとっての価値になるとは限らない。

どれだけ高い技術があっても、それを必要としている人がいなければ、選ばれる理由にはならない。

反対に、自分たちでは大したことがないと思っていることが、顧客にとっては大きな価値になっている場合もある。

だから、会社の強みを考えるときには、社内だけで答えを探さなくてもいいのかもしれない。

なぜ、うちに仕事を依頼してくれるのか。

他にも選択肢がある中で、なぜ選んでくれたのか。

どんなときに、うちを頼ってくれるのか。

そんなことを顧客に聞いてみる。

すると、自分たちが思っていた強みとは、違う答えが返ってくるかもしれない。

そして、その答えをきっかけに、普段の仕事を見直してみる。

自分たちは、何を当たり前にやっているんだろう。

その中に、誰かが価値を感じていることはないだろうか。

会社の強みは、新しくつくらなければならないものばかりではない。

すでに持っているのに、気づいていないだけのものもある。

強みがないのではなく、強みとして認識していない。

そんな可能性もあるのかもしれない。

玉井 安行 / ホームポジションデザイナー

南信州を拠点に、小さな会社や経営者の「整理しきれないこと」を一緒に考える仕事をしています。

事業、採用、Web、生成AIなど、テーマはさまざま。でも、すぐに答えを出すのではなく、「そもそも何が問題なんだろう?」というところから考えることを大切にしています。

経営や仕事について、誰かと一度整理してみたいことがあれば、ご相談ください。
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