「何でもできます」は、強みになるのか

会社のホームページを見ていると、

「幅広いニーズに対応します」

「どんなことでもご相談ください」

「お客様のあらゆる課題を解決します」

そんな言葉を見かけることがある。

対応できる仕事が多い。

技術の幅が広い。

さまざまな経験がある。

それは、その会社が積み重ねてきた力なのだと思う。

でも、少し気になることがある。

できることが多いほど、お客さんから選ばれやすくなるんだろうか。

例えば、ある製造業の会社があったとする。

切削もできる。

研削もできる。

組立もできる。

試作にも量産にも対応できる。

設備も技術も揃っている。

会社としては、そのすべてが強みだと思っている。

だからホームページにも、できることをできるだけたくさん掲載する。

でも、それを見たお客さんは、何を感じるだろう。

「いろいろできる会社なんだな」

とは思うかもしれない。

一方で、

「この仕事なら、ここに頼みたい」

という理由まで見つかるとは限らない。

お客さんは、会社が持っている能力の一覧を探しているわけではない。

自分が困っていることを解決してくれそうな相手を探している。

だから、同じ技術力を持っていたとしても、

「精密加工全般に対応します」

という会社と、

「他社で断られた難削材の小ロット加工に対応します」

という会社では、伝わり方が違う。

後者のほうが技術力が高いとは限らない。

ただ、誰にとって必要な会社なのかが見えやすい。

ここで、少し不思議なことが起きる。

できることを増やしてきた会社ほど、それを全部伝えたくなる。

せっかく設備を導入した。

せっかく技術を身につけた。

せっかく実績を積んだ。

だから、どれも強みとして紹介したい。

でも、伝えることを増やすほど、何が一番の強みなのか分からなくなることがある。

これは、できることを減らそうという話ではない。

幅広く対応できることが価値になる会社もある。

ただ、できることと、最初に伝えるべきことは同じではないのだと思う。

すべての能力を持っていてもいい。

でも、すべてを同じ大きさで伝える必要はない。

何でもできる会社が、何でもできることを伝えようとする。

その結果、誰にも強く印象に残らなくなる。

そんなこともあるのかもしれない。

会社の強みを考えるとき、

「自分たちは何ができるのか」

という問いは大切だ。

でも、その隣に、もうひとつ置いてみたい。

「誰が、どんなときに、自分たちを必要とするのか。」

できることを並べるだけでは見えてこない強みが、そこにあるのかもしれない。

玉井 安行 / ホームポジションデザイナー

南信州を拠点に、小さな会社や経営者の「整理しきれないこと」を一緒に考える仕事をしています。

事業、採用、Web、生成AIなど、テーマはさまざま。でも、すぐに答えを出すのではなく、「そもそも何が問題なんだろう?」というところから考えることを大切にしています。

経営や仕事について、誰かと一度整理してみたいことがあれば、ご相談ください。
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