「もっと社員に仕事を任せたい」
「外部の専門家に任せたい」
「AIに任せて効率化したい」
仕事をしていると、そんな話をよく耳にする。
自分で抱えていた仕事を、誰かに任せる。
そうすることで、自分の時間が生まれる。
会社としてできることも増える。
もちろん、仕事を任せることは大切だと思う。
でも、ときどき気になることがある。
任せることと、丸投げすることは、何が違うんだろう。
例えば、社員に新しい仕事を任せる。
「この仕事、よろしく」
そう伝えて、あとは本人に任せる。
ところが、出来上がったものを見ると、期待していたものと違う。
「そういうことじゃないんだよな」
「もう少し考えてやってほしかった」
そんな話になる。
でも、そもそも何を期待していたのか。
どこまで本人が決めてよかったのか。
何を優先してほしかったのか。
そこは伝わっていたんだろうか。
外部への業務委託でも同じことが起きる。
ホームページをつくってほしい。
採用を手伝ってほしい。
業務を改善してほしい。
依頼する側には、何となく完成形のイメージがある。
でも、それを言葉にしていない。
すると、受けた側は自分なりに考えて進めることになる。
結果として、双方が「思っていたものと違う」と感じてしまう。
AIも似ている。
AIに指示を出す。
立派な文章や資料が出来上がる。
でも、目的と合っていなければ、使えるものにはならない。
ここで少し考えたい。
仕事を任せるとき、どこまで決めておく必要があるんだろう。
細かく指示しすぎれば、相手が考える余地はなくなる。
反対に、何も伝えなければ、何を基準に判断すればいいのか分からない。
だから、すべてを指示することでも、すべてを自由にすることでもないのだと思う。
例えば、
何のためにやるのか。
どんな状態になればよいのか。
何を優先するのか。
どこまで自分で判断してよいのか。
困ったときは、誰が判断するのか。
そうしたことを共有できていれば、進め方そのものは任せられる。
そして、もうひとつ。
仕事を任せたからといって、その仕事への責任までなくなるわけではない。
任せた相手が判断に迷っていないか。
当初の目的から外れていないか。
必要なときに相談できる状態になっているか。
任せる側にも、まだ役割が残っている。
仕事を任せることは、自分が何もしなくなることではない。
むしろ、自分が何を決め、何を相手に委ねるのかを、先に考えることなのかもしれない。
「任せたのに、うまくいかなかった」
そんなとき、相手の能力や姿勢を疑う前に、一度だけ考えてみたい。
自分は、何を任せたつもりだったんだろう。
