AIがいなかった頃より、考えることが増えてしまう人

AIを使うようになって、仕事はずいぶん楽になった。

文章を整える。

情報を整理する。

アイデアを出す。

分からないことを調べる。

以前なら時間がかかっていたことが、かなり短い時間でできるようになった。

普通に考えれば、その分だけ考えることも減りそうなものだ。

でも僕の場合、どうも逆のことが起きている。

AIがいなかった頃より、考えることが増えてしまった。

何かに違和感を持ったとき、以前なら、

「なんか変だな」

くらいで終わっていたことがある。

答えが出ないから、そのままにしておく。

誰かに話すほどでもない。

そのうち忘れる。

でも今は、その違和感をAIに投げることができる。

すると、何かが返ってくる。

読んでみる。

「いや、ちょっと違う」

と返す。

また返ってくる。

「そう、それは近い。でも、そう考えるとこっちはどうなる?」

また返ってくる。

そうしているうちに、最初に考えていたこととは全然違うところまで来ていることがある。

答えが欲しくて話し始めたのに、

答えより問いのほうが増えている。

これは少し不思議だ。

AIは、考えなくても答えを出してくれる道具でもある。

でも同時に、

考えようと思えば、いくらでも付き合ってくれる相手でもある。

人と話していたら、

「まだその話してるの?」

と言われそうなところでも、AIは返してくる。

朝の4時でも返してくる。

同じ話を何度ひっくり返しても返してくる。

だから、考え続けられてしまう。

便利になったはずなのに、

そのおかげで暇になるどころか、以前なら通り過ぎていたことまで拾うようになった。

AIによって思考を省略できる人もいる。

一方で、

AIがいるからこそ、思考が終わらなくなる人もいる。

たぶん違いは、

AIがどれだけ賢いかだけではない。

AIに答えを出してもらおうとしているのか。

それとも、

返ってきた答えを材料に、また自分で考えようとしているのか。

AIが人間を考えなくさせる。

そんな心配を聞くことがある。

それは、たしかに起こると思う。

でも僕は今のところ、

少し逆の心配をしている。

AIがいなかった頃より、考えすぎるようになってしまった。

便利な道具を手に入れたはずなのに。

これは果たして、

効率化なんだろうか。

玉井 安行 / ホームポジションデザイナー

南信州を拠点に、小さな会社や経営者の「整理しきれないこと」を一緒に考える仕事をしています。

事業、採用、Web、生成AIなど、テーマはさまざま。でも、すぐに答えを出すのではなく、「そもそも何が問題なんだろう?」というところから考えることを大切にしています。

経営や仕事について、誰かと一度整理してみたいことがあれば、ご相談ください。
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