生産性を上げよう。
業務を効率化しよう。
AIを導入しよう。
仕事をしていると、こうした言葉をよく耳にする。
同じ仕事を、より短い時間でできるようにする。
同じ人数で、より多くの仕事をこなせるようにする。
少ない費用で、同じ成果を出せるようにする。
もちろん、どれも大切なことだと思う。
でも、最近少し気になることがある。
生産性を上げたあと、何をするのか。
そこまで決めている会社は、どれくらいあるんだろう。
例えば、毎月20時間かかっていた仕事が、AIの導入によって5時間で終わるようになったとする。
15時間の削減。
数字だけを見れば、大きな成果だ。
でも、その15時間を何に使うのか。
そこが決まっていなければ、空いた時間に別の仕事を詰め込んでしまうかもしれない。
今まで必要のなかった資料をつくる。
会議を増やす。
新しい取り組みを始める。
気づけば、以前と変わらないくらい忙しくなっている。
お金についても同じことが言える。
コスト削減によって生まれた余裕を、何となく別の設備やサービスに使ってしまう。
情報もそうだ。
AIによって短時間で大量の情報を集められるようになった。
でも、情報が増えたことで選択肢が増えすぎて、かえって判断が難しくなることもある。
時間も、お金も、情報も。
増えれば増えるほど良いとは限らない。
そもそも、生産性を上げることは目的だったんだろうか。
僕は、生産性向上とは、何かを実現するために余力を生み出すことなのではないかと思っている。
その余力を使って、新しい事業に挑戦する。
社員の負担を減らす。
品質を高める。
利益として残す。
あるいは、何にも使わず、余裕として持っておく。
どれも選択肢としてあっていい。
大切なのは、生まれた余力を何となく使ってしまわないことだと思う。
会社は、常に何かを増やし続けなければならないわけではない。
仕事が早く終わるようになったのなら、早く帰ってもいい。
お金が余ったのなら、使わずに残してもいい。
情報を集められるようになったからといって、すべてを知る必要もない。
生産性を上げる方法を考える前に、
生産性が上がった先に、どんな状態をつくりたいのか。
そこを考えておかないと、せっかく生み出した余力を、また別の忙しさに変えてしまうかもしれない。
