会社を経営していると、成長することが当たり前のように求められる。
売上を増やす。
従業員を増やす。
事業を拡大する。
新しい拠点をつくる。
会社が大きくなることは、成功の証として語られることが多い。
もちろん、会社が成長することには大きな意味があると思う。
雇用を生み出せる。
より多くの顧客に商品やサービスを届けられる。
設備投資や新しい事業にも挑戦しやすくなる。
規模が大きくなることで、できることも増えていく。
でも、ときどき考えることがある。
会社は、本当に大きくし続けなければならないんだろうか。
例えば、従業員が10人ほどの製造業があるとする。
仕事は安定している。
社員には十分な給与を支払えている。
設備の更新もできている。
経営者にも、家族と過ごす時間がある。
そんな会社があったとしたら、さらに従業員を増やし、売上を伸ばす必要はあるんだろうか。
もちろん、新しい挑戦をしたいのであれば、それもいいと思う。
でも、今の規模で十分に経営が成り立っているのなら、その状態を維持するという選択もあっていい。
ところが、会社の成長を考えるとき、なぜか「大きくする」という方向ばかりに目が向きやすい。
売上が前年と同じなら、成長していない。
従業員が増えていなければ、事業が拡大していない。
そんなふうに捉えられることもある。
でも、売上が変わらなくても、利益が増えているかもしれない。
社員の残業時間が減っているかもしれない。
顧客との関係が深まっているかもしれない。
経営者が現場を離れても、会社が回るようになっているかもしれない。
会社が良くなることと、会社が大きくなることは、必ずしも同じではない。
もうひとつ、気になることがある。
会社を大きくすると、これまでになかった仕事も増えていく。
人を採用する。
組織を管理する。
新しい設備を導入する。
資金を調達する。
売上が増えた分だけ、経営の自由度が高まるとは限らない。
むしろ、規模を維持するために、さらに売上を増やし続けなければならなくなる場合もある。
もちろん、規模を維持することにも難しさはある。
物価や人件費は変わる。
設備は古くなる。
顧客の状況も変化する。
何もしなくても、今の状態が続くわけではない。
だから、会社を大きくしないという選択は、何も変えないということではないと思う。
必要な改善や投資を続けながら、自分たちに合った規模を維持していく。
それも、ひとつの経営戦略ではないだろうか。
会社を大きくすることを目標にするのもいい。
でも、その前に考えてみたい。
何のために大きくするのか。
どこまで大きくしたいのか。
そして、どんな状態になれば十分なのか。
会社の大きさではなく、どんな会社でありたいのか。
そこから成長の方向を考えてもいいように思う。
