顧客の要望に、どこまで応えるべきか

「お客様のご要望に、できる限りお応えします」

会社のホームページなどで、よく見かける言葉だ。

お客様の声を聞く。

要望に応える。

期待を超える。

どれも、仕事をするうえで大切な姿勢だと思う。

でも、ときどき気になることがある。

顧客の要望に応えることが、本当に顧客のためになるんだろうか。

例えば、ホームページをリニューアルしたいという相談があったとする。

デザインを新しくしたい。

写真を増やしたい。

もっと動きのあるサイトにしたい。

そんな要望が出てくる。

もちろん、その通りにつくることはできる。

でも、なぜリニューアルしたいのかを聞いてみると、

「問い合わせが減っているから」

という話になることがある。

もし問い合わせが減っている原因が、デザインではなかったらどうだろう。

商品やサービスの魅力が伝わっていないのかもしれない。

そもそも、必要としている人に見つけてもらえていないのかもしれない。

価格やサービス内容が、今の顧客と合っていない可能性もある。

そう考えると、デザインを新しくすることが、必ずしも解決策になるとは限らない。

それでも、顧客の要望だからと、そのまま制作を進める。

完成したホームページは、確かにきれいになる。

顧客も満足するかもしれない。

でも、問い合わせが増えなければ、最初に困っていたことは何も変わっていない。

ここに、少し難しい問題があると思う。

顧客は、自分が困っていることを知っている。

でも、その原因や解決方法まで、正確に分かっているとは限らない。

だから、顧客の言う通りにすることが、必ずしも良い仕事になるわけではない。

これは、顧客の意見を軽視するという話ではない。

むしろ、逆だと思う。

要望を聞くことは大切だ。

でも、その要望が生まれた理由まで聞くことは、もっと大切なのかもしれない。

なぜ、それをやりたいのか。

何に困っているのか。

どうなれば、うまくいったと言えるのか。

そこまで聞いてみると、最初の要望とは違う方法が見えてくることがある。

場合によっては、

「それは、やらなくてもいいかもしれません」

と伝えることもある。

顧客が望んでいることを、そのまま実現する。

それもひとつの仕事だと思う。

でも、顧客が本当に実現したかったことを、一緒に見つける。

そんな仕事の仕方もあっていい。

顧客の要望を満たすことと、顧客の問題を解決すること。

似ているようで、少し違う。

顧客の要望に応える前に、その要望がどこから生まれたのか。

そこから考えてみたい。

玉井 安行 / ホームポジションデザイナー

南信州を拠点に、小さな会社や経営者の「整理しきれないこと」を一緒に考える仕事をしています。

事業、採用、Web、生成AIなど、テーマはさまざま。でも、すぐに答えを出すのではなく、「そもそも何が問題なんだろう?」というところから考えることを大切にしています。

経営や仕事について、誰かと一度整理してみたいことがあれば、ご相談ください。
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